レーザー加工コンテスト”L-1 2012” 『学生の逸品』

5月と7月に開催されたレーザー加工コンテスト “L-1” の、『学生の逸品』を再度ご案内させていただきます。

東西合わせて6大学がエントリーし、5大学が出展されました。

細かなディティールの部分では、さすがにプロの建築模型業者さんやサインディスプレイ業者さんには歯が立ちませんでしたが、アイデアの秀逸さ・ユニークさには目を見張るものがありました。

前回もご紹介いたしましたが、日本工業大学様が “L-1” EASTで準優勝の栄誉に輝いています。

では作品をご案内してゆきましょう。
まずは “EAST” に出展されました公立大学法人 首都大学東京システムデザイン研究科様(東京都日野市)の、学生さんの作品です。

『Puddle(水たまり)』

アクリルの彫刻部分に色入れし、カットした紙を組み合わせて製作したアクセサリーです。独特のデザインと色調が素晴らしいですね。

こちらを作られた学生さんは、今は卒業され、大阪のデザイン会社に就職されています。

『PiCut』

和紙を重ね、1枚目のカットを模様とし、下の2枚目のカットを透けさせて月明かりや雲などが薄明るくなる背景を表現しています。

高級文具店などで同じような手法を用いている和紙カードなどをたまに見かけます。

商品としても十分に通用するのではないでしょうか?

レーザーカットを使用したペーパークラフトは、日本国内ではまだまだ店頭に普及していないように思います。

首都大の学生さんや卒業生の方は、その他にも個人で製作した『木のランプ』『アクリル花瓶』『紙のCDケース』などを出品していただけました。

次は “WEST” に出展されました、AAST teamA様(愛知県豊橋市)の2作品です。

AAST teamA様は、京都大・京都工芸繊維大・東京理科大・東北大・豊橋技術科学大出身の、大学院生中心のモノづくりチームでした。

『Translating serial reiations』

紙や木材を使用し、レーザーのパワーコントロールや焦点ずらし等の、操作上のアレンジを材質の構造変化に結び付けた作品です。

発想はユニークですが、レーザーオペレーターの方々はこのレベルのテクニックは普通に駆使されています。

むしろ、こちらはミニチュア版ということで、実際の大型モデルを是非とも拝見したかったものです。

作品にはきちんとしたプレゼンテーションがPOPとしてセットされているのが学生作品の特徴です。
次は、 “EAST” でもスケールの大きさが目を引いた、『北海道新幹線 木古内駅舎』

東京都市大学 工学部建築学科(東京都世田谷区) 小林様の卒研作品です。

屋根のトラスの大きさと繊細さが素晴らしい卒研作品です。

トラスだけでなく、人物などのディティールもレーザーならではの産物です。

従来の新幹線の駅から飛躍して、北海道の新幹線駅舎であることのイメージを最大限に引き出しています。

数々の展示会に飾られているとのことでした。
次も建築模型です。

“WEST” に出展された国立大学法人 京都工芸繊維大学 工芸科学研究科様(京都府京都市)『Hacking City-アルゴリズミックデザインを用いて-』。

アサヒビール西宮工場跡地を仮想敷地とした“無目的ホール”がテーマです。

実際のモデルもディスプレイパネルも、フォルムの美しさが目を引いていました。

壊れてしまいそうな微妙な繊細さも逆に美しさに拍車をかけていた作品です。

学生の研究課題の建築模型としては、近未来的でとても洗練されているモデルであると思います。
そして最後は “EAST” 準優勝の日本工業大学 工学部 機械工学科様(埼玉県南埼玉郡)です。

準優勝作品『蝶とトンボのオブジェ』は、前回ご紹介いたしました。

実は日本工業大学 機械工学科様は第2第3の作品を出しておられ、そちらもお客様の目を引く作品でした。

まずは『カンバン』。

写真の手前にあるレールの様なものが、“ものづくり”の文字をあらわしたカンバンです。

ネジを外せば関節が動く代物で、アクリルの色の組み合わせもとてもキレイですね。

本来は壁面に取り付けるものだそうです。

同じ原理で作られたものが『マグカップ』。

ステンレスマグの周囲に幾重にもアクリルが重ねられ、ネジだけで留められています。

ステンレスは断熱性があるのでアクリルが変形しにくいですし、持った時の手触りが(ステンレスよりも)暖かみがある、色合いも美しい楽しい作品となっています。

ただの飾り物ではなく、そこにはきちんとした物理や機能が裏打ちされています。工学部であるからでしょうか?
以上が『学生の逸品』の数々です。

現在、多くの大学でレーザー加工機が使用されていますが、
学部や学科によって、製作されているものの特色が全く違っているところがまた面白いところですね。

次回は『本業の逸品』をご案内いたします。